金継ならぬ歪継、完成!
割れた大地を思わせる、荒々しい土肌、錆びた鎹。
古くて武骨な我楽多好みの私の粋を集めた器が完成しました!
もうこれは、金継というより、漆継というよりも
歪継(いびつぎ)!Σ(゚Д゚)
元がこんな、大人しいイメージの唐津焼だなんて
だれが信じる事でしょう?
色は明るいベージュで正直好みじゃなかったんだけど、
カケやヒビの直しでなく、割れた器の繕いを学びたかったので、
教材用にはピッタリ。
ためらいなく、カチーンと粉々にかち割りました!
この後は、接着剤の役目をする麦漆の食いつきをよくする為の下地作り。
テレピン油で溶いた漆を断面に縫って、ティッシュで拭取り、
1日ムロ(湿度の高い保管箱。漆は乾燥ではなく湿度で硬化します)で保管。
翌朝、ワクワクしながらムロを開けたら・・・・・・
ガーン!!Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)
焼き物の質によっては、このように漆を吸い込んで肌が汚れます。
これは取れない。こうならない為に
卵白を断面に塗って乾かし、漆の吸い込みを防ぐ方法もあります。
これは失敗?ゲームオーバー?
いや・・・むしろ、カッコよくね???
ガラス質の下の粗い土に染み込んだ漆が、貫入を際立たせ、
つまんないベージュがグッと引き締まった・・・ように見える?
こりゃもう、逆に、逆にさ、
器全体にペッタリと、テレビン油で薄めた漆を塗って、
乾かすこと、もう一日。
翌朝、ワクワクしながら、
エタノールで拭取ってみれば・・・・・・
めっさ好みや~ん❤
これを練った小麦粉と漆を混ぜて作った「麦漆」を使って
破片どおしをくっつけて形を整え(楽しい作業)
一週間後にムロから出したのがこの状態!
このひび割れた個所は、剥き出しの麦漆(美味そうなネーミング)。
これで完成でも良いけど、私はここに黒の染料(黒べんがら)を混ぜた
木地呂(精製した漆。透明なので染料を混ぜて色付けできる)を塗って、
乾いたら耐水ペーパーで研ぐという作業を1回だけ行った。
この漆の塗りと研ぎの作業は3回くらい繰り返すと、
表面が滑らかに美しくなるのですが
私の中には、もうある構想が浮かんでいたので1回で終了。
金継を始めるにあたり、本やネットで色んな作品を見てきたけれど
名物と言われる絢爛豪華なものや、プロがつくる繊細なもの、
素人の作った素朴な感じや、
ヒビを絵に見立てたアーティスティックなものなど
どれも良いけど、どれも違う。
私が心惹かれるものじゃない。
誰のものでもない、自分が使う、自分の器なら、
はみ出したって、いいんじゃない!?.
そうして完成した、私の作品第一号がコレ!!Σ(゚Д゚)
明るい白茶の肌に映える、荒々しい黒。
それを跨ぐ、寂れた鎹(かすがい)。
鎹はアルミの針金をペンチで平たく潰し、
接着に使った麦漆を表面にあえて少し残してサビをイメージしました。
世界に一つだけの、私の器。
あえてこう名付けよう。
歪継(いびつぎ)と。