Feekazi

たとえばこんな沖縄暮らし

金継ならぬ歪継、完成!

割れた大地を思わせる、荒々しい土肌、錆びた鎹。
古くて武骨な我楽多好みの私の粋を集めた器が完成しました!

 

f:id:naya-okinawa:20190903193727j:plain


もうこれは、金継というより、漆継というよりも

歪継(いびつぎ)!Σ(゚Д゚)

 

元がこんな、大人しいイメージの唐津焼だなんて
だれが信じる事でしょう?

 

f:id:naya-okinawa:20190903193757j:plain

那覇市の骨董店『20世紀ハイツ』さんで 「金継の練習用に割れた器を探してる」と尋ねた所 大きなひびの入ったこの茶碗を安く譲ってもらえました。


色は明るいベージュで正直好みじゃなかったんだけど、
カケやヒビの直しでなく、割れた器の繕いを学びたかったので、
教材用にはピッタリ。

ためらいなく、カチーンと粉々にかち割りました!

 

f:id:naya-okinawa:20190903193907j:plain

無残・・・・・・

 

この後は、接着剤の役目をする麦漆の食いつきをよくする為の下地作り。

テレピン油で溶いた漆を断面に縫って、ティッシュで拭取り、
1日ムロ(湿度の高い保管箱。漆は乾燥ではなく湿度で硬化します)で保管。

 

翌朝、ワクワクしながらムロを開けたら・・・・・・

 

ガーン!!Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)

 

f:id:naya-okinawa:20190903194032j:plain

焼き物の質によっては、このように漆を吸い込んで肌が汚れます。 これは取れない。こうならない為に 卵白を断面に塗って乾かし、漆の吸い込みを防ぐ方法もあります。


焼き物の質によっては、このように漆を吸い込んで肌が汚れます。
これは取れない。こうならない為に
卵白を断面に塗って乾かし、漆の吸い込みを防ぐ方法もあります。
これは失敗?ゲームオーバー?

 

いや・・・むしろ、カッコよくね???

 

ガラス質の下の粗い土に染み込んだ漆が、貫入を際立たせ、
つまんないベージュがグッと引き締まった・・・ように見える?

 

こりゃもう、逆に、逆にさ、
器全体にペッタリと、テレビン油で薄めた漆を塗って、
乾かすこと、もう一日。

 

翌朝、ワクワクしながら、
エタノールで拭取ってみれば・・・・・・

 

f:id:naya-okinawa:20190903194214j:plain

無水エタノールはアルコールの一種で、揮発性。 漆は湿気で固まるので、水は使いにくい為、拭取りにはこれを使う事が多い。


めっさ好みや~ん❤

 

これを練った小麦粉と漆を混ぜて作った「麦漆」を使って
破片どおしをくっつけて形を整え(楽しい作業)

 

一週間後にムロから出したのがこの状態!

 

f:id:naya-okinawa:20190903194313j:plain

1週間だとまだちょっとヤワいかも。 割れた個所を触ると「ミシッ」とか不穏な音がします。 このまま後もう1~2週間ムロに置くと、完っ璧にくっついて頑丈になるという印象。


このひび割れた個所は、剥き出しの麦漆(美味そうなネーミング)。

これで完成でも良いけど、私はここに黒の染料(黒べんがら)を混ぜた
木地呂(精製した漆。透明なので染料を混ぜて色付けできる)を塗って、
乾いたら耐水ペーパーで研ぐという作業を1回だけ行った。

 

この漆の塗りと研ぎの作業は3回くらい繰り返すと、
表面が滑らかに美しくなるのですが

私の中には、もうある構想が浮かんでいたので1回で終了。

 

f:id:naya-okinawa:20190903194357j:plain

鎹は本来なら、器に穴をあけて金づちで打ち込むことで補強となるのだが リューターでもどうにも穴が開かなかったので 麦漆で金属辺を貼り付けただけの「鎹風」。無念。

 

金継を始めるにあたり、本やネットで色んな作品を見てきたけれど
名物と言われる絢爛豪華なものや、プロがつくる繊細なもの、
素人の作った素朴な感じや、
ヒビを絵に見立てたアーティスティックなものなど

 

どれも良いけど、どれも違う。
私が心惹かれるものじゃない。

 

誰のものでもない、自分が使う、自分の器なら、
はみ出したって、いいんじゃない!?.

 

そうして完成した、私の作品第一号がコレ!!Σ(゚Д゚)

 

f:id:naya-okinawa:20190903194516j:plain

どーん!!

 

f:id:naya-okinawa:20190903194541j:plain

裏がこう!!


明るい白茶の肌に映える、荒々しい黒。
それを跨ぐ、寂れた鎹(かすがい)。

鎹はアルミの針金をペンチで平たく潰し、
接着に使った麦漆を表面にあえて少し残してサビをイメージしました。

 

世界に一つだけの、私の器。

あえてこう名付けよう。

 

歪継(いびつぎ)と。