古道具目録005
ピューターとは、錫(すず)と鉛を主成分とした合金。
中世ヨーロッパでは「貧乏人の銀」とも呼ばれ、
銀製品の代用として庶民に愛用されていたものが
19世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動により、
工芸品として再評価を受けるようになりました。
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佐敷のイタリアンカフェ『ビーナチュラル』で
フランス土産の金属製の皿を見て以来
(今思えば、あれもピューターだったのかも)
その黒々とした渋い趣や、どっしりとした重量感に憧れて、
青絵の古伊万里や、大木からくり貫かれたこね鉢と共に
いずれは古道具のコレクションに
加えたいと熱望していた逸品です。
この一枚は、直径が31cmと、かなりの大皿。
沖縄骨董のジェラルミン製食器と同じで、
鋳物ってデコラティブなものも多いので
こうしたシンプルなものを見つけると、
躍り上がってしまうほど嬉しくなるのです。
色とりどりのフルーツや、新鮮なサラダを盛り付けても良いし
母が数十年愛用していた、
パイレックスのティーセットを無造作に置いて
「ドリンクはセルフでね」なんて、
お客様を気楽にもてなすのにも良いかも。
乗せたもの全てを引き立てる、シックな色合い。
シンプルながら、存在感のある佇まい。
まさに、いぶし銀のごとき味わいの
200年前に作られたこの皿は
那覇の浮島通りにあるアンティークショップ
『20世紀ハイツ 那覇ギャラリー』で購入しました。
18世紀後期から19世紀初め。
出所はドイツですが、ヨーロッパ各地を転々としてきたことでしょう。
いくつもの戦火をくぐり、多くの家族の食卓に上って、
めぐりめぐって沖縄の我が家にやってきたんだね。
同日手に入れたもうひとつのお宝は、次回のブログでご紹介します。
20世紀ハイツ 那覇ギャラリー