南の島でカゴを編む③
はてさて・・・念願かなって、隣町にカゴの教室を見つけたnaya。
カゴ編み教室初日。
私の他に3~4名の生徒さん達が、めいめい作りかけのカゴを取り出して、
先生に分からないところを聞きながら製作を進めていくスタイル。
ある生徒さんが「先生、次はこのカゴを作ってみたいんですけど」
と、教室にある本のページを指さすと
先生が即座に、手順や編み方のコツを教えていくのは流石!
なるほど、雑誌の切り抜きとか持ってきても対応してくれそう。ムフフ。
naya「えっと先生、私は・・・・・・」
先生「アナタはコレ」
え?
渡されたのは、一本の籐(とう)。
先生「今日は、乱れ編みの毬(まり)を作ります」
・・・・・・・・・・・・ま・り?
いや、日常生活で、籐のまりとか使わんし。
・・・が、ここは我慢。我慢して・・・・・・
naya「ま、まり、良いっすねー!やったー♪」
次回、次回からが本番だ・・・・・・
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そして翌週、今度こそ、雅姫がこ洒落た感じで下げている、
野イチゴでも摘んじゃいそうな、可愛いカゴを作るんだと
意気込んで向かった教室。
naya「せんせー、せんせー。今日はこう、
持ち手の付いた手提げみたいなカゴを作りたいんですー」
ところが先生が出してきたのは、昭和な感じの飾りカゴ。
先生「今日は果物カゴを作るわよ」
いや、果物カゴとか使いませんし。
先生「今日はこのカゴ、次回はトレイ。その次は・・・・・・」
と先生が広げた初心者用スケジュールは、先の先まで埋まってて
・・・・・・それが、なんというかその・・・・・・
「先生の好みと私の好みは違うんですー!」
・・・・・・とはもちろん言えるはずもなく、この日も釈然としない思いで、
果物カゴなるものを、渋々作らされたのでした。
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そして、今日が3回目のカゴ編み教室。
今日こそは! 言うぞ!!
意気込んで向かった、カゴ教室。
たまたまその日は、私だけでした。
naya「先生、お話があります!」
神妙な面持ちで、先生の前に5~6冊の本を差し出した。
naya「私が作りたいのは、こういうのとか、
こういうのとか、こういうカゴなんです!!」
先生「ものにはまず、順序があるの。まずは技術が大事。
私の言う通りに進めていけば、一通りのモノは作れるようになるから」
naya「私はいろんな技術はいらないんです。
基本的な少ない技法でできる、シンプルなカゴが欲しいんです!!」
生意気言ってるのは分かってる。
先生の言うことが、正しいってことも。
でも、私の頭の中には、欲しいカゴのビジョンがハッキリあって、
それは本当に、シンプルで素朴なカゴ。
自分にブレない確かなものがあれば、他の作品を見ても、
テクニックを身に着けても、ブレることなく
自分が作りたいものを作れるんだろうけど
私はきっと色んな技を身に着けたら、それら全部を盛り込んだ、
ダサダサなものを作ってしまう自信がある!(どんな自信?)
色んな作品を見たら、何が作りたかったのか
見失っちゃう自信がある!(だからどんな自信よ)
先生の言われるがままに課題をこなしていたら、
1年後には謎のオブジェを作っている自信があるよ!(こらー!)
*****
強情な私を説得しようとする先生。
譲らない私。
10分、15分、20分と話し合う内に、とうとう先生が折れた。
先生「もう・・・・・・、好きにしなさい!」
naya「・・・・・・え? あ、、やったー!!!」
いやぁ、ワガママも言ってみるもんだ!!
こんな我の強い生徒は初めてだったでしょう、申し訳ありません先生!!
naya「じゃあ、そうと決まったら先生、
さっそくこんなカゴが作りたいんですけど・・・・・・!」
貴重なレッスン時間、1秒たりとも無駄にはできませんよっ!
(つづく)