Feekazi

たとえばこんな沖縄暮らし

舞台『SELECT!』

まるで、開店休業中の我がブログ・・・・・・

相変わらず、画像のアップができないのですが、
そんな内情をよそに、事件はどんどん起こってます!

 

*****

 

以前、このブログでも紹介した、
沖縄の劇団『チームスポットジャンブル(以後、TSJ)』

www.spot-jumble.com

 

naya-okinawa.hatenablog.com

  

その第5回本公演『SELECT!』が、
10月16・17日の2日間、沖縄市・コザで上演されました!!

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引越しついでに、アートな『SELECT!』ポスターを掲載します。

 

*****

 

前回の舞台『蓬莱丸』は大好評で、名護市の大ホールで再演までされたので、
その次に、何を持ってくるか、劇団の真価を決める、正念場・・・・・・

 

なんて私の心配も、軽~く跳び越えて、
やっぱり今回も、素敵なTSJワールドだったのでした!!!

 

*****

 

この感動を伝えたい!
ぶちまけたい!!

 

と思いつつ、当のブログはこんな調子でジレンマの日々。
そこを救い上げてくれたのが、先週から始まった『沖縄の風』。

 

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沖縄の風 デイリーボイス】
花カゴいっぱいの幸せVol.2

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2019/05/01

沖縄の風さんに許可を頂いたので、
当ブログに転載させていただきます。

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花カゴいっぱいの幸せ

 

『沖縄daily voice』をご覧のみなさん、こんにちわ!
火曜日担当、nayaです。

 

ところでみなさん、お芝居はお好きですか?

 

今回ご紹介するのは、沖縄の新進気鋭の劇団
『チームスポットジャンブル(通称:TSJ)』。

 

私はこの人たちの舞台が、それはもう!
好きで好きで好きで好きで、大っ好きで・・・っ!!

 

どのくらい好きかというと、さかのぼる事6年前。

三宅裕二さんの開催した『沖縄マルチパフォーマーオーディション』の頃から、
胸を熱くして見守ってました。

 そう、TSJはこのオーディションの合格者たちが、
沖縄の喜劇役者・津波信一さんを座長に旗揚げした演劇集団なのです。

 

10人にも満たないメンバー全員が、ダンスもアクションもこなす、
まさに少数精鋭のマルチパフォーマー

 そのTSJの第五回本公演が、10月16・17日の2日間、
沖縄市コザの
沖縄市民小劇場 あしびなー』で上演されました!!

 

その名も『SELECT!』!!

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=======『SELSCT!』あらすじ=======

 

「もしも過去に戻れるか、未来に行けるとしたら、どっちを選ぶ?」

 

無気力な青年が辿り着いた先は、将来を楽しげに語らい合う40年前の沖縄―――

 

不安。期待。憧れ。夢。
様々な思いで揺れる人々。

 

そんな激動の時代に、無気力人間がタイムスリップしてしまった!

 

未来に期待を持てない未来人。
未来に希望を抱く過去の人々。

 

交流と激突を繰り返し、青年が見たものとは?
彼らが「選ぶ」未来とは!?

 

(TSJ公式HPより抜粋)

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前作『蓬莱丸』の時は、公式ブログで舞台裏はもとより、
あらすじ、時代設定、
登場人物の相関図、難しい用語集などなど

がっつり公開して予習して、本公演への期待を盛り上げてくれていたのに、
今回は予備知識がまるでなし。

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 あるとすれば、現代のいまどきフリーターが、
返還前の沖縄にタイムスリップするという事だけ。

 

そんな事もあって、私はこの舞台、幕が上がるギリギリまで、
2月に終わった『蓬莱丸』の余韻を、
ずーっと引きずっていたのですが・・・・・・

 

 

 

終わってみたら放心状態。

 

復帰の前後、基地のこと、沖縄のことで頭がパンパンになっちゃって、
色々いろいろ考えて、夜も眠れないくらい

すっっかり、どっっっっぷり、TSJワールドにハマッてしまいました!!!

 

 

まず、津波 信一さんの役どころがすごく良い!

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40年前のラジオ沖縄『人気(?)DJコウちゃん』こと、大城 幸太郎。

 

愛と笑いあふれる大城四兄弟の長男で・・・・・・
長男といっても、誰一人血が繋がっていないの。

孤児を集めて家族を作り、みんなで肩を寄せあって暮らしてる。

 

その設定で改めて、この時代があの悲惨な戦争から、
20年しか経っていないことを思い知らされる。

 

この大城兄弟、本当に明るくてバカばっかりやってるんだけど

戦火をくぐり、家族を失い、ガマで息を潜めて生き延びてきた、
そんな経験をしてきた人たちだと思うと、彼らが笑えば笑うほど、
そのタフさにぐっとくる。

 

40年前の復帰直前の沖縄で、ラジオDJという立場。
伝えたいことはいくらでもあるのに

「復帰すると困るスポンサーがたくさんいる」

というプロデューサーの言葉に、歯がゆい思い。

 「にいにいはハッキリしないんだよね」

と弟に責められて、返す言葉もなくて・・・・・・

 

復帰後何十年も経つのに、いまだ続く多くの県民のジレンマを、
幸太郎にいにいが代弁している感じ。

 

 

そして、にいにいを慕いつつも反発する
次男・
一春を演じるのが、与那覇 圭一さん。

『蓬莱丸』の時に開花させた、愛すべき無邪気キャラを再び大爆発!

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「基地反対!沖縄を返せ!」

と叫ぶ、当時の沖縄の若者を代表する姿。

 

だけどデモの時の、どことなく自信の持てない様子。

「基地が無くなるなんて、本当に思っているの?」
「そんなことして意味があるの?」と問われて

 

うまく説明できないところ、もどかしい感じが本当に共感できて

幸太郎にいにいに対する反発は、そのまま復帰運動に盲進できない、
自分に対する苛立ちのよう。

 

 

そして大城兄弟の紅一点
アフロが可愛い妹・
舞美役の上條 恵奈美ちゃんは、
TSJの舞台に立つのは今回が初めて。

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だからか、掛け合いも雰囲気もフワリと一人、
異色な感じが、なんだか逆に新鮮で!

 

最初に書いたように、TSJは少人数のチームなので、
一人二役・三役は当たり前。

顔も出さないダンスのみのシーンもメインキャストが踊っていて、
ファンには実に贅沢な反面、つねに新しい風を取り入れて、
新しい面を見てみたい。

 

定番の掛け合いとは少しだけ違う、演技の隙間に垣間見える、
ほんの少しの違和感が、
なんだか心地よく興味をそそるのです。

 

 

その起爆剤的異分子が、前回はおりん役の桑江 静香さんで

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(今回スタッフとして参加していた桑江さん。お話できてラッキーでした!)
 今回はこの恵奈美ちゃんというわけ。

 

「前はみんな、もっと仲良かったのに・・・・・・、沖縄復帰って
言われるようになってから、
なんだかおかしくなってきちゃった・・・・・・」

こんな舞美のように思う人もあの時代、たしかに居たんだと思います。

 

 

そして、大城4兄弟の最後の一人、信平役の比嘉 恭平さん。

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沖縄にはユタという人たちがいて、見えないものを見て、
私たちに伝える役割を担っています。

俗に言う「スピリチュアル」「霊媒師」なんて言葉を使うのも
はばかられるほど、
歴史文化的にも社会的にも確立された存在です。

 

そして、この信平もまた、見えないものが見え、
時には憑依されちゃったりもするユタの資質を持つ青年で

彼のこの能力が物語を解決にぐっと後押しするのです。

 

しかし、そんなことは置いてといて!
この子、まるでピュアな幼子みたいで、とにかく可愛い!癒されます!!

 

でも、役者魂を感じさせる降霊シーンの卒倒は、なんと受身なし!?

 

バッターン!!

 

と大胆すぎて、ケガしやしないか冷や汗ものでした・・・・・・

 

 

さらに、物語を大きく動かす存在の浦崎あかりちゃん演じる謝花 晴子と、
彼女を追う謎の米兵(?)役の村山 靖さん。

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コザで働く晴子は、幸太郎にいにいが一目で恋に落ちてしまうほどの、
生命力に満ち満ちた、強く明るく美しい女性。

ところが次に会った時は、放心状態で行き倒れ、
まるで人が変わったかのような抜け殻の状態に・・・・・・

 

当時のコザは、夜ともなれば、大人の男性でも出歩けないような危険な街。

米兵同士の喧嘩やいざこざに巻き込まれ、
ひき逃げ、発砲、暴力事件も日常茶飯事。

 

最悪の状況なんて考えたくもないけれど、
尋常ならざる彼女の様子に、どうしたって考えずにはいられない・・・・・・

晴子ちゃん、まさか・・・・・・

 

 

一方、謎のトムクルーズ似の米兵は、実はなんと生粋の日本人!?
宮古島生まれの下地ヤスシって・・・・・・

 

まんま、やっさん、村山 靖さんじゃないですか!!

 

こわもてで無口なもんだから、幸太郎にいにいもすっかりビビッて、見事な
空手の型からの流れるような土下座(!)
という必殺技を披露してくれましたが

この下地さん、口を開けばウチナンチュでもチンプンカンプンの宮古訛り。

 

実際、初期の劇団ブログを見てみると、
涙ぐましいやっさんの標準語指導まで載っていて、

そんな彼のお国言葉に、意味はわからなくとも、
なんとも微笑ましい、暖かい気持ちになっちゃいました。

 

晴子とヤスシの登場で、戦後を生きる当時の沖縄の人々が、
逞しい笑顔の裏側で、
いかに危険と隣り合わせで暮らしていたかが垣間見える。

家族を、大切な人を傷つけられて、何もできない無力さとやるせなさ。

 

 

そんな40年前の沖縄の人々と、時を越えて出会うのが、
主役の安里 翔吉を演じる末吉 功治さん。

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両親はウチナンチュだけど、東京暮らしが長く、定職にもつかず、
今は那覇でドミトリー生活。

実際、国際通りにもたくさんいる若者の一人。

 

「過去と未来、どっちに行きたい?」と聞かれて、
「過去」と答えるのは意外な気がしたけど

 

「未来っつっても俺の未来でしょ?
そんなのろくでもないに決まってるもん。
だったら過去の方が面白いかなって」
なんて、若いのになんともガッカリな無気力発言。

 

だけど、歴史的な偉人に会えるかも・・・・・・!
そう考えると確かに、過去へのタイムスリップって面白そう!!

 

でも、飛ばされたのは思いもよらない40年前の沖縄。

 

坂本龍馬織田信長もいない。
普通の人々が、普通の暮らしを守って、精一杯生きている世界。

そこで、大城兄弟たちと出会い、初めは冷ややかに、徐々に反発していく翔吉。

 

「復帰したって変わんねーよ。
40年後の未来だって基地は無くならないじゃないか」

確かに。県内の大学に米軍のヘリが墜落した時も、住民たちは締め出され、
操縦士も組織としての米軍にもお咎めなし。

 

米兵や軍属の起こす事件事故も、相変わらず多く、
県民を期待させた、基地の県外移設も結局うやむやになってしまった。

 

こんな時代に来て、一体何の意味があるの?

理不尽な暴力を、ただただ頭を低くして
やりすごそうとする人々に、抑えきれない苛立ち。

 

 

 

 

 

その理由が、わかるのは突然のこと

 

 

 

 

 

今から40年前の1970年12月20日未明

 

 

 

 

 

コザ暴動勃発

 

 

 

 

 

沖縄の本土復帰へのきっかけともなった、県民の怒りが爆発した事件が
この日、この夜起こったのでした。

 

いつもの明るい大城兄弟が、穏やかな沖縄の人々が、
角材を握り、火炎瓶を投げ、怒声をあげる姿。

 

当時の実際の現場の音声、県民の怒りの声が会場中に響き渡り、
それはもう、胸が苦しくなるほどの臨場感。

 

その中で

 

「お前はお前のできることをやれ」

 

主人公が選ぶ、自分にできること・・・・・・

 

 

 

 

 

今回の舞台の異色の存在は、天道 志良と天宮 久満生。

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『蓬莱丸』のきらびやかな衣装とは打って変わり、
私服で庶民な風情の他メンバーとは、一線を画す奇抜な衣装。

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(カッコイイ・・・!!)

 

それもそのはず、彼らは時を操る精霊。
翔吉をタイムスリップさせた張本人なのです。

 

黒衣の久満生を演じるのは、小渡 俊彰さん。

可愛カッコイイいたずらっ子。
まさにピッタリのハマリ役です!

 

ほんの暇つぶしのつもりだったのに、あっという間に大城兄弟に感情移入して、
無神経な翔吉の言動に、苛立ちすぎてツッコミまくり。

 

 

こんな熱くて人の良い久満生の相方は、正反対のクールな志良。

演じる島袋 寛之さんには『蓬莱丸』以来すっかり魅せられちゃっているのですが、
今回も清十郎サマ路線の飄々とした役どころで、カッコイイことこの上なし!!

 

口の端をニンマリと持ち上げた笑顔が、なんとも腹黒そうなんだけど
「なんだかんだ言って久満生は優しいけど、俺は違うよ」
なんて言いながら、ピュアな信平のラジオを直してあげたりして、
実はさりげなく優しいのが素敵!

 

コザ暴動を前に
「俺たちもちょっと暴れてくるか・・・・・・!」
と手袋を外す二人の姿に、もうメロメロです~!

 

 

 

今回の舞台を観て、つくづく喜劇というものの懐の深さを感じました。

 

重いテーマも、体制批判も、人の生き死にも、喜劇だから伝えられる。
喜劇だから誰も傷つけずに、自分の伝えたいことを言える。

 

そしてベースが喜劇だからこそ、ここぞというテーマを、
ドカッと大きく観客の胸に突きつけることができるのかも。

 

 

 

今回もまた、深手を負いました・・・・・・

 

TSJって、ポップさが売りと見せつけておいて

 

なかなかどうして、食えないヤツらです。



- 追記 -

 

前回の『蓬莱丸』は、大好評を得て、
名護市の大ホールで追加公演が催されました。

 

今回の『SELECT!』も、両日立ち見ありの大人気!

きっと再演されると信じての、
ストーリーに関しては
多くを語らないレビューです。

沖縄在住の方はもちろん、ナイチにお住まいのあなたもぜひ、
彼らの公演にあわせて来沖してみることをオススメします。


沖縄で今、一番カッコイイ人たちですぞ!!